りんどう法律事務所のブログ

2016.07.25

30代ではもう遅い???

西加奈子さんの小説「サラバ!」を読みました。

 

 

ハードカバーの上下2巻。大作ですが、一文一文が長くなく、読みやすい文体で、物語に引き込まれる形で読み終わりました。

 

 

【ネタバレ要素があります。ご注意ください。】

 

 

 

 

極めて個性的な姉と、いつまでも女性であり続ける母と、穏やか過ぎる父。

 

そんな家族に生まれた主人公の、生まれてから中年と言われる年齢までの人生を描いた小説です。

 

 

もっとも、主人公一人の人生といえども、物語の舞台は狭い世界の中だけで進んではいません。

 

イランで生まれ、物心がつく前に日本に戻るものの、エジプトに越し、そして両親の離婚をきっかけにまた日本に戻ってくる主人公の人生の中には、

 

 

あまり他の世界を知ることなく、同じような環境で過ごす仲間に囲まれた小学校時代を過ごした自分と比べれば、様々な「個性」「価値観」が織り交ぜられていました。

 

 

しかし、異国の地での様々な「個性」「価値観」に触れている主人公でも、その主人公に最も影響を与えたのが、個性的な姉であり、そして父と母。つまり家族なのでした。

 

 

「目立たないこと」「人との生活に溶け込むこと」を最優先に学生時代を過ごした主人公。

 

 

恵まれた容姿もあって、他者からは、「惨め」と思われることはない生活を過ごしますが、

 

物語の後半、主人公は、どんどんと惨めになっていくのです。

 

 

傍からみれば、主人公に訪れた変化や、周りの環境の変化は、決して「惨め」なものではありません。

 

生きていれば、様々な変化に晒され戸惑うことももちろんありますが、それは人の性のはずです。

 

 

でも、主人公はそれを受け入れることができませんでした。

 

 

個人的には、このあたりの表現が本当に素晴らしく、どんどん引き込まれてしまいました。

 

 

華々しい世界で活躍していたのに、社会とのつながりを自らでほぼ断ってしまった主人公。曜日も時間もわからない生活を漫然と過ごすようになります。

 

 

主人公をそこまでしたものには、様々な理由があります。姉の狂信的言動や、母の再婚、父の出家・・・。

 

ただ、それ以外にも、主人公は、自分の身体的変化を受け入れることが出来ず、どんどん卑屈になっていくのです。

 

 

 

その卑屈になっていく様の表現に目をみはります。些細な身体的進化。でもジワジワと主人公に迫っていき、主人公は密かにもがき、そして受け入れることはできないまま、卑屈になっていくのです。

 

 

人間の弱さ、卑屈さ、ダメさ。

 

短い文章で、ずんずん心に攻め入ってきます。

 

 

 

ダメな30代、男性。それが主人公の今なのです。

 

 

そんな主人公ですが、でも、家族や友をきっかけに、自分のしたいこと、「信じるもの」を見つけます。

 

 

「信じること」。「信じるもの」。「向き合いたいこと」。「なりたい自分」。

 

 

30代でこんなことを考えるのはもう遅いのでしょうか?

 

 

そんなことはない。そう思える小説です。

 

 

 

 

りんどう法律事務所(女性弁護士による法律相談)

大阪市北区西天満3丁目13-18

06-6364-7778

 

 

りんどう法律事務所

大阪市北区西天満3-13-18
島根ビルディング3階
06-6364-7778

ブログ内検索

カレンダー

«7月»
     1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31