りんどう法律事務所のブログ

2015.11.25

とある遺言書の効力が争われた事件 ~ その遺言書は有効?無効?~

平成27年11月20日、最高裁第二小法廷で、とある遺言書についての判決が出ました。

 

 

相続問題にも積極的に取り組んでいる当事務所として、これに触れないわけにはいきません。

 

ということで、今日は、とある遺言書が無効か有効かが争われたこの事件について書きたいと思います。

 

 

 

事案は、以下のようなものでした。

 

 

・Aさんには、BさんとCさんという子どもがいました。

・Aさんは生前、1枚の用紙に「自分の遺産の大半を、Bさんに相続させる」という内容の自筆証書遺言を作成しました。

・自筆証書遺言は、全文、作成日付、氏名を自書し、自分の印を押さなければなりませんが、Aさんが作った遺言書はこの要件をすべて満たしていました。

・Aさんはその後亡くなりました。

・Aさんの死後、Aさんが作成した前述の自筆証書遺言が発見されましたが、その遺言書には、文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで1本、斜線が引かれていました。

 

 

この事案で、Bさんは遺言書が有効であると主張し、Cさんは遺言書が無効であると主張したのです。

 

第一審第二審は、

 

「本件斜線が引かれた後も本件遺言書の元の字が判読できる状態である以上」「故意に本件斜線を引く行為は」「故意に遺言書を破棄したとき」には該当しないとし、遺言書が有効であると判断しました。

 

 

遺言書は、亡くなった方の最後の大切なメッセージです。

とはいえ、遺言書の効力は、それを作成された方が亡くなられた後に問題となります。

 

だからこそ、遺言書には、その作成にあたり厳格な要件が認められてもいますし、遺言書が「撤回されている」と考える場合についても、民法は条文を定めています。

 

その一つ、民法1024条は、次の通り定めているのです。

 

「遺言者が『故意に遺言書を破棄したときは』、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす」。

 

つまり、遺言書を作成された方が、後日、その遺言書を破ったりすれば、その遺言は撤回されたとみるということです。

 

 

本件は、文面全体を、左上から右下にかけて赤色のボールペンで斜線が引かれていました。

 

問題は、これが「故意に遺言書を破棄したとき」にあたるのかどうか。この点が争われたのが本件なのです。

 

 

第一審、第二審は、この斜線があったとしても、遺言書を判読できるのだから「破棄」にはあたらず、したがって、遺言書は有効と判断したのです。

 

 

しかし、最高裁は、第一審・第二審とは異なる判断を出しました

 

 

最高裁は、

 

「本件のように赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は、その行為の有する一般的な意味に照らして、その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当」とし、

 

本件遺言書は、「故意に遺言書を破棄した」時にあたり、したがって、無効であると判断したのです。

 

 

 

第一審、第二審、そして最高裁とも、この赤色のボールペンによる斜線は、遺言者による故意になされたものであると判断をした点では違いはないのですが、

 

 

結局、それが「故意に破棄した」ものといえるのかどうかで、判断がわかれたものと思われます。

 

 

認定された事実関係は同じでも、法解釈等で大きく結論が異なる場合がある。

 

 

これが法律、訴訟の世界なのです。

 

 

 

みなさまのお考えは、第二審と同じでしょうか?それとも最高裁と同じでしょうか?

 

 

お暇なときに、条文をみながら一度考えていただければ、法律の世界に興味をもっていただけるのかもしれません。

 

 ただ、遺言書は、このように「解釈」が問題になるものが散見されます。「この判例があるから、斜線を引けば撤回されたとみなされる」と思っていても、判例は事案によって全く異なる判断をする場合もあります。

遺言書を作成される際には、くれぐれも出来る限り法律に従った方法で作成されることをお勧めいたします。

せっかく作成した遺言書が、長期紛争を導くことのないように、どうか、「念のため」のお気持ちで弁護士にご相談ください。

 

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